THE GUILTY
良い点
- ストーリーの展開
- 1人の俳優と音声だけの独特な演出
- 俳優の演技
悪い点
- 少し淡泊
「犯人は音の中に。1人演技と音声だけで描く異色のサスペンス」
どんな内容?
緊急通報指令室のオペレータをしているアスガーに、車で誘拐されているという電話が。それを受けて、指令室から、誘拐の対応や、家に残された子供たちに指令を。映画は終始、指令室にいるアスガーの電話対応だけの場面で、犯罪の緊迫感を描いた異色のデンマーク映画。アカデミー賞にもノミネートされた。最後の結末など、ストーリはよくできていいると思う。
冒頭のストーリー
緊急通報指令室(緊急ダイヤル)のオペレータとして、日々対応をしている刑事「アスガー」(ヤコブ・センダーグレイン)のもとに、一通の女性からの電話が。内容は、「誘拐されているので助けてくれ」。それを受けてアスガーは、電話で彼女とやり取りをしながら、電話で助けようとする。
作品解説
第91回アカデミー賞外国語映画賞候補になった2018年のデンマークのサスペンス映画。この映画の一番は、映画の終始すべてが、緊急通報指令室のオペレータのアスガーの電話で受け付け対応で、犯罪の現場や、誘拐の緊迫感、それに犯罪に対処するシーンが身近に感じて、映画自体に緊迫感を与える演出にある。現場のシーンがなくて、音声だけで、しかも、刑事の受け答えだけで、1時間半を退屈させなくて、描き切っている演出と、ストーリー性と、アスガー役のヤコブ・センダーグレインの演技力によるものと思われる秀作。
なお、題材のGUILTYとは、受付を行い、良かれと思った指示で、多くの心の傷や過ちを犯しまうことと、事件を受けて自分が犯したある事件で、偽りの証言を行う計画の自分自身の罪が重なって、何が正義で正しいのかを問うということも含めたものと思われる。今回の事件を受けて、明日の諮問はどのように対応するのだろうか、それを含めた最後のシーンにもなっている。
結末の思わぬ展開は、ぜひ映画を見てお楽しみください。2021年などリメイクもいくつかあり、ぜひ最初の映画で。
面白いポイント
映画の終始が、緊急通報指令室のオペレータのアスガーとの電話のやり取りだけでである。こんな設定の映画は、他になく、その斬新さにも驚くが、それよりも、電話の音声でのやり取りと、アスガーの演技だけで、犯罪の緊迫感や悲惨さ、そして対応など通常シーン画面で描くところを、すべて音声だけで表し、生々しく想像で、自分も犯罪現場にいる緊迫感を味わえるということに驚きと斬新さを感じた。こうした演出もありかと。
そして、それをさせるストーリーと脚本力、そして主人公のアスガー演じるヤコブ・センダーグレインの演技力が面白いポイントです。
2021年にリメイクもされているようだが、日本でリメイクした場合、アスガー役は誰がいいかなども考えながら見てもらうと面白いかも。大画面という言うよりは、TVやスマホなどのパーソナル画面がいいかと。
あらすじ(ネタばれあり)
ある事件がきっかけで刑事から緊急通信指令室のオペレーターの業務に移動になった「アスガー・ホルム」(ヤコブ・セーダーグレン)。粛々と業務をこなしているある日、誘拐されたと訴える女性から電話通報を受ける。通報者は「イーベン」(イェシカ・ディナウエ)という女性だった。誘拐され、怯えている女性と、娘との会話と偽って話をするアスガーだったが、男に白いバンで連れ去られたという事が判明する。わかるのは、名前と女性の住所と現在高速道路にいることだけ。連絡で近くにいるパトカーを現場へ向かわせたが、わからないまま。
アスガーは独断で誘拐された女性の家にいる子供たちに電話を掛けた。するとイベント幼い娘マチルダが電話に出て話を聞くと、パパがナイフを持ち出してママを連れて出ていったという話を聞き、さらに危機感を持つ。アスガーは、寂しがっているマチルダ―に1歳の弟オリバーと一緒に部屋で待っているように指示するが。
この後、指令室からアスガーが支持しながら、誘拐からイーベンを助けようと奮闘する。ネタバレアリの続きは以下を参照。
ネタバレ注意
アスガーは、父親の車のナンバーを調べ、パトカーで捜索の依頼をして、パトカーによる捜索が進められる。また、刑事の元相棒には、父親の家に行って、どこに父親が行こうとするかを調べさせることに。
また、子供たちの家に派遣した警察官から、幼子のオリバーが腹を割かれて殺されていて、そのそばにマチルダがいたことを聞かされ、自分がマチルダに言った指示が大きな間違いだったことを知ってショックを受ける。
また、アスガーは、指令室で支持し、連絡をするだけで、何もできない中、苦悩するが、その時、母親のイーベンから電話があり、イーベンの居場所を見つけようとするが、なかなかできない。アスガーは、イーベンに、息子を殺した父親から身を護ってレンガで殴って逃げるように指示をする。
果たして、母親イーベンはそうなるのか、そして結末はどのようになり、アスガーはどう向き合っていくのか。
この後の30分の結末は、ぜひ映画を見てお楽しみください。
キャスト
メインキャストは、ほぼ、緊急通報指令室のオペレータ 「アスガー」(ヤコブ・センダーグレイン)だけで、電話の声として、誘拐される母親の「イーベン」(イェシカ・ディナウエ)や、娘、夫、元同僚など。
アスガー(ヤコブ・センダーグレイン)
主演の、緊急通報指令室のオペレータのアスガー。明日、自分が刑事だった時の事件で諮問がある大事な時。同僚と自分の潔白を証言しようと口裏合わせして計画する。その時に、一通の電話で、誘拐された母親からのもので、彼は、その緊急性から、彼女やお残された子供たちを助けようとするが、できるのは電話による指示のみ。アスガー以外は音声だけで、アスガーの一人演技的なところもあるが、ヤコブ・センダーグレインいい演技をしている。
イーベン(イェシカ・ディナウエ)
誘拐された母親のイーベン。電話で、緊急通報に連絡して助けを求めるが、果たして彼女はどうなるか。電話の声しか出てこない。
感想
やはり、映画の終始、緊急通報指令室のオペレータ アスガーの電話の受け答えだけで、事件を描く異色の演出が一番の見もの。こうした場面も人も、ほぼ一つで、後は音声だけの演出で、ここまで素晴らしく面白い映画になって言いるのはとても面白い。ストーリ性、演出、俳優の演技力が、素晴らしかったものと思う。日本の俳優で、誰がこれを演じられるか、考えてみても楽しいかも。
ネタバレありの感想は以下で
ネタバレ注意
また、題材のGUILTYの意味からすると、アスガーが子供に良かれと思ったことが最悪の悲惨な状況を作ったり、誘拐を解決しようとして母親に支持を与えたことが、実は大きな間違いを犯してしまったことなど、自分のやったことの罪を考えていく中で、ある事件で自分が犯した罪に向き合うことができるかどうか、自分の罪とは何かを考えさせるもににもなっています。その観点からも見てもらえばと思います。